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いつも遊んでいた公園。
大きいわけでも、豪華な遊具があるわけでもないそこは、普通の滑り台とブランコ、あとは鉄棒があるくらいの普通の公園。
でも、仕事で忙しい母が、たまに連れて来てくれていた、私にとっては少し特別な場所。
普段からあまりひと気は無く、たまに小学生たちが鬼ごっこやボール遊びをしていた。
私はその公園の隅で、四つ葉のクローバーを探したり、シロツメクサで花冠を作って遊ぶのが好きだった。
その日も、いつものように四つ葉のクローバーを探していた。しゃがみこんで、一生懸命探していると、誰かが私の前に立った。
それに気付いて顔をあげると、男の子が不思議そうにこっちを見ている。
「なに?」
こちらも不思議に思い、声をかける。
「なにしてるのかなーって」
じっと見つめていた時の雰囲気とは違い、楽しそうな声が返ってくる。
「四つ葉のクローバーを探してるんだよ」
「四つ葉のクローバー? なに、それ?」
その子は、知らないようでコテンと小首を傾げた。
「四つ葉のクローバーを見つけると、幸せにるんだよ!」
「へぇー、すごいねー」
「あ、ふたつ見つけたから、ひとつあげるね!」
「いいの?」
「うん! 私、見つけるの得意だから!」
「じゃあ、すっごく幸せになれるんだね」
「うん! そうなの!」
「いいなぁ! これ、ありがとう! 僕も幸せになるね!」
そう言って、男の子は、私があげた四つ葉のクローバーを大事そうに握りしめて、滑り台の方へ走って行った。
それを、幼いながらに、ドキドキしながら見送っていた。
これが好きということなのかと、漠然と感じる。
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