16.淫らに許して王子様

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「それは違う。最後の一線だけは越えなければいいって、自分に言い訳をしていただけなんだ。俺の愛撫にもだえる頼子ちゃんを見て、すごく興奮した。――なんて、変態だって幻滅したかな?」 「私だって、はしたないって幻滅されているんじゃないかなって、すごく不安だったんですよ」 「そうか」 「そうです」  そっかと額をあわせて、クスクスと笑いあう。 「でも、ちゃんと魅力を感じてもらえていたってわかって、安心しました」 「俺も。頼子ちゃんが自暴自棄になっているとかじゃなく、本気で俺とこうなりたいと望んでくれているんだとわかって、すごくうれしいよ」  唇とともに想いを重ねて確認しつつ、頼子はゆっくりと繋がったまま床に寝かされた。 「昨日は逃げられたけど、今日はこうして話の続きをしにきてくれて、よかった。あのまま避けられたら、どうしようかと思っていたから」 「私も。気まずいままはいやだなと思って。でも、きっかけがなくって。そうしたら、施設で絵を教えてくれる人はいないかって話が出て。おばさんが弘毅さんならいいんじゃないかって。私から頼みなさいって……話をちゃんとしてきなさいって言われて」 「絵を教えるって?」 「そうなんです!」  その話をしなければと力を込めた頼子の下腹部が締まって、内側につつんでいる弘毅を圧迫した。弘毅がうめき、頼子も短い嬌声を上げる。     
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