2.王子様は二次元がお好き?

2/10
前へ
/219ページ
次へ
「結婚して、別の場所に住んでいるわ。言わなかったっけ」 「はい」 「そっか」  美里とは、弘毅の姉だ。頼子が小学六年生のときに、弘毅たちは引っ越した。弘毅は中学三年生。美里は大学生で、ひとり暮らしをしていた。だからなのか、頼子はあまり美里のことを覚えていない。 「弘毅さんって、いつも晩御飯はひとりで食べているんですか?」 「近所のお手伝いに行って、そこで食べていることもあるし、自分で作って食べていることもあるわよ。あちこちで料理を教わってくるから、けっこう上手なのよ。もともと手先が器用だし、向いているのかもね」 「そうなんですか」 「そう。私より料理上手なのよねぇ、あの子」 「それで、生計を立てているんですか?」 「ん?」 「手伝いをして、それで生活費をもらっているのかなって」  仕事らしい仕事をしているとは思っていない頼子でも、アルバイト扱いできちんと給与の契約書を交わしている。都会の感覚では安価だが、勤務内容と照らし合わせると不満はない。しかしそれで生活ができるとは思えなかった。 (物価が安いとか、野菜は分けてもらえるとかもあるけど、それでもちょっと無理だよね)     
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加