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「那月(なつき)、一緒に帰ろうぜ!」
帰り支度をする僕の目の前に、すでに荷物を持った陽人がやって来る。
「今日は部活の見学行かないの?」
「昨日さ、親に部活の話したら、成績悪いからダメだって。テストで良い点取るまで部活禁止って言われちゃった」
「そうなんだ。残念だったね」
「まあ、しょうがないよ。俺バカだし。
那月は? 部活やんないの?」
「僕は、陽人と違って、運動できないし、部活に入るつもりはないよ」
「そっか。じゃあ、これからも遊べるな! あ、勉強も教えてね。たぶん俺、ついて行けねぇから!」
なぜか自慢気に、少し楽しそうに笑う陽人。
自分の弱点を明るく話せるところが少し羨ましくさえ思える。
たぶん当の本人はなにも考えてないんだろうけど。
僕もそんな風に笑えればいいのに。
「どうした?」
「えっ、ああ、ううん、なんでもない。陽人は凄いなーって思っただけ」
「え、なにが?」
「なんでもない」
「まあ、褒められてんならいいけど」
「うん、褒めてるよ」
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