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「あぁっー。ウルせぇぇぇぇぇー!!」
ブッチャーの怒声が音を掻き消した。その瞬間、音を放っていたであろうものが正体を現した。
それはブッチャーの背丈を越えるほど大きなプリン。
しかし、その表面は皮を剥がれて肉丸出しといったようなものであった。そのプリンには目らしきものが付いており、そこから血のようなものが流れていた。
「ごめんなさい」「ごめんなさい」「ごめんなさい」「ごめんなさい」
突然、女性が何度も謝り始めた。彼女の「ごめんさい」は誰に向けての言葉なのかは、まるでわからない。ただ、うつむいて地面に謝っている。
ブッチャーはまたの騒音に顔をしかめたが、今度は叫ぶことはなかった。
「ふん。どうせ隠れて人の食い物でも食ったとかだろう」
女性の謝罪をそう解釈したブッチャー。……こちらには何もわかりませんが、少々短絡的に過ぎるのでは?
「ウルせー。こちとら考えるのは苦手なんだよ」
いやー怒られてしまいました。おほん、では気を取り直して。
女性の謝罪は盗み食いによるものと捉えたブッチャーは、何を思ったのか堂々と肉プリンに近づいていった。
「こんなもの食ったら腹壊すぜ。うげーやりたくねー」
そうつぶやいたかと思うと、ブッチャーは肉プリンにかぶりつき、猛烈な勢いで食べ始めた。とてもブッチャーの体に収まる大きさではないのだが、見る見るプリンは小さくなっていった。
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