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第2部 顔合わせ
「おい、当たってんじゃねーよ。」
「は? 当たってきたのはそっちだろ。」
「ふざけてんのか!」
KT線の車内で、どうやら、喧嘩が起こってるらしい。
春とは言え、通勤ラッシュを迎えた車内は蒸し暑く、初夏のようだ。
僕は目的地に着いたので、その横を通り過ぎ、改札へと足を運ぶ。
最寄駅から徒歩で2分のところにある、国立『ナショナル』通称:センターが僕の四月からの飼われ先だ。
えーと…第二高校の17Rか…ここだな。
教室に着くと、すでに僕以外のほとんどは来ているようだった。
「おはよう。皆、席に着いているな。今日から君らの担任を受け持つ、荒井 順だ。よろしく。」
数分後には担任が教室に入って来た。
気の強そうな綺麗な人だ。
「早速だが、入学式だ。廊下に一列に並べ。」
そう言われると、クラスの人たちは静かに席を立ち、時間の浪費のために廊下へと向かう。
担任と生徒の先頭が行ってしまうと、僕は屋上へ行くことにした。
校長の長話なんて、聞きたくないからだ。
屋上で寝てると、入学式の会場から、校歌らしきものが流れてきた。
不意に、紙飛行機が飛んできて、頭に刺さる。
僕はなんだこれと思いながらも、開けてみた。
どうやら、文章らしい。それも、今日の入学式の式辞となっている。
上を見上げると、タンクの上に人影があった。
僕は無視して、また寝始めた。
すると数秒後にまた、何かが落ちてきた。今度は腹にめり込んだ。靴だった。
さすがに、これ以上はやめて欲しいので、その人影に言った。
「疲れてるんだ。寝かせてくれ。おやすみ。」
どうやら、聞こえてなかったのか、今度は本人が来たようだ。
「あなた、入学式は?」
よく見ると、髪の長い女の子だった。
「なぜ、僕が新入生だと?」
名前付きのコサージュを指さされ、僕は一本取られてしまったようだ。
「そうだな。行く意味がないと判断した。そういうあんたも、入学式は良いのか?あんた、式辞を述べるってことは、相当上位だろ。多分、第0の人だな。」
「そうね、いかにも。私は、芦土 真希。ただ、一つ間違いがある。第0だった、よ。今は第二高校17Rの生徒。」
「ふーん。そーか。じゃ、おやすみ。」
「は?!なによそれ。あなたね、なんかコメントとかないわけ!」
「別にない。眠い…だから寝る。んじゃ。」
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