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「あっ、向こうで世話になってる人が御節持たせてくれたから」
真人は御饌が持たせてくれた御節の風呂敷を解くと重箱を炬燵の上に出した。
「ずいぶん立派な重箱だね」
言いながら伯母は重箱の蓋を開けると。
「ちょっと、これ神様への新年のお供え物とかじゃないの!?」
重箱の中のあまりに豪華な食材の数々に伯母は慌てて真人に確認する。
「世話になってる人が出る時に直接持たせてくれたものだよ」
「そうならいいけど、こんな贅沢なもの用意してくれるなんて、本当にあんたに神社の仕事なんて勤まってるんだね」
言うと伯母は四段重ねの重箱を炬燵の上に広げる。
「神社と言っても俺がやってるのは裏方の仕事だよ」
「裏方でも神社の仕事には違いないでしょ?会社勤めは到底無理だと思ってたけど、それがまさか神社で働くなんて、神様に罰当たりな事するんじゃないよ」
すぐにお湯が沸き、急須にお湯を注ぐと箸二膳と湯飲みを一つ食器棚から出して伯母も炬燵へ入る。
「神っていうのは人間のする事なんて気にもしてないよ。人を助けてくれるような神はごく一部で、ほとんどの神はいい加減だから」
「まるで神様と会った事でもあるような言い方だね」
「それは……神社庁には色々な資料があるから、それを見てればなんとなく……」
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