赤い関西女

3/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「え?なに?」晴子は我に返り聞き返した。 「何かあった?」本に目を戻して、言葉と裏腹に興味がない様子で海月は言った。晴子にもう少し観察力があれば、海月の本のページが進んでいないことに気がついたかもしれない。しかし晴子は自分のことで頭がいっぱいだった。 「うん……あのね、いや、やっぱりいいわ」 「何があったの?」 晴子の言葉が聞こえていないかのように海月が静かに聞き返す。「早く続きを話せ」と言わんばかりの口調だ。中途半端な態度は海月に通用しない。今さら当然のことに晴子は気づいた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!