赤い関西女

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「あの……ヒロくんに振られたの」晴子はぽつりと言った。 「ああ、藤井広翔」 「ちょうど付き合って半年だったの。記念に何かしたくて、ヒロくんに相談しようと思って」 「付き合った日とか覚えてるわけ」海月はぎょっとした。 「当たり前じゃない」覚えてないなんてありえない、と晴子も驚いたが「海月には当たり前じゃなかったね」。普通の女子とは違って、淡泊な人間もいることを晴子は最近学んでいた。 「でね、この半年のことを話したの。ずっと憧れだったヒロくんに告白して、オッケーしてもらって、すごくうれしかったの。だから毎日楽しかったなとか、ありがとうとか言って」  晴子はキラキラした目で遠くを見た。早くも心は半年前に飛んで行ったらしい。切り替えが早い。  「これまでの彼氏の中で、ヒロくんが一番だったの。ああ、これが本物の恋なんだって思った。優しいし私を引っ張ってくれるし、いつまで話してても飽きないし。ヒロくんは理想の彼氏なの」楽しそうな晴子。放っておいても勝手にしゃべりそうな晴子に、海月は相づちを打つのを止めた。
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