赤い関西女

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 出会って3か月。いつしか海月と行動を共にするようになった。恋人が部活などでいないときは、いつも海月の姿を探した。 しかしせっかく一緒にいても、晴子が話を振らないと沈黙が続くこともある。最初は話題を探すのに必死だったが、無理やり作った話はつまらないらしく、海月はまったく乗ってこない。唯一、広翔の話をするときだけは、晴子も夢中になって話すので会話が続いた。いや、晴子が一方的にしゃべっていたと言う方が正確かもしれない。海月が興味を持っているかは怪しいところだったが、少なくとも黙って聞いていた。  一方で沈黙に慣れてしまえば、そっちの方が心地よいことを知った。どれだけ心を許した友人にも常に気を遣ってきた晴子にとって初めての関係だった。  海月に積極的に関わろうとする者は晴子くらいしかいなかった。いつも1人の海月をかわいそうだと思い、友達と一緒に帰ろうと誘ったこともある。しかし「ええわ」とあっさり断られた。 友達には「バカね、晴子。海月は一緒に帰るとかいうタイプじゃないって。1人でいたいんだよ」と言われた。「1人=寂しい」としか考えたことのない晴子には理解できなかった。
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