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「ミーナちゃん、俺と付き合ってたことにしなよ。」
軽く私の手を触れた悠人君の手は少し冷たかった。きっと私のことをすごく見ていると思う。
めちゃくちゃ視線を感じる。
感じるけど…私には見返す勇気がなかった。
目を見てしまうと言い返せないと思ったから。
あの綺麗な色素の薄い瞳。
私にはたまらなくプレッシャーに感じる色。
このどうしようもなく、重い時間が早く過ぎることを心底祈った。
こんな話しを聞かれたのがものすごく恥ずかしかったし、早くこの場から消えたかった。
向こうが諦めるまで私は黙る。私は心に決めた。
ただ、きっとこの人は本当に私を救ってくれると思う。そこに飛び込む勇気が当時の私にはなかった。
久しぶりに起きてからも記憶に残る夢を見た。
鮮明に思い出す。
高校3年生の時の思い出したくないシーンのひとつだった。
今思うとあの時の私は可愛かった。
素直になれない、思春期独特のプライドが高く見栄を張ってた時期。
今思うと何であんな嘘をついたのかわからない。
たかが恋愛のひとつしたことがなかっただけなのに。
セットしたアラームの3分前に目を覚まし、もったいない感じを感じつつも私はベットから起きた。
こんな夢を見たのもきっと彼に会ってしまったせいだ。
27歳の大人になった彼に。
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