コンプリケート

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昨日の休日にお気に入りのカフェでミルクたっぷりのカフェオレを飲んでいた。 本を読んだり、スマホを触ったりとなんともない時間。私の好きな時間だ。 家の近くなので、化粧もせずに来ている。 「皆川さん?」 私の隣に座ったであろうと思う方から声がした。 声のした方を向くと、高校生の時とは違い黒髪になり、あの昔から変わらない色素の薄い目をした悠人君がそこに座っていた。 なぜここに彼がいるのかと驚いた。 地元から程遠いこの場所に。 さすがに何も答えないのは愛想がないと思い「そうだよ。竹山君、久しぶりだね?」と今日一番の冷静さを装い答えた。 「隣座って大丈夫かな?」相変わらず人の良さそうな笑顔で聞いてきた。 私はもう座ってるじゃんと思いながら「どうぞ」と答えた。 大丈夫。この場をやり過ごしたら、きっと大丈夫。 そう自分に言い聞かせた。
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