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「皆川さん、大人っぽくなったね。一瞬誰だかわからなかった。」
それは褒め言葉なのかどうなのか考えた。
いや、私そんなに老けてないしと思いたかったが、今はスッピンなのを思い出した。最悪だ。
「‥竹山君は変わってないね。昔のまんまだね。」
本当にそう思った。
「えーっ!それって成長してないってこと?これでも結構大人になったよ。」
少し苦笑いしながら、彼は話した。
「ってか、、、苗字で呼ばれたらなんか悲しいな。高校の時みたいに名前で呼んでよ。」
「‥いや、竹山君が先に苗字で呼んできたから私も合わせただけだよ。」
自分から呼んでおいてなんだ、この人。
「うん。苗字確認したかったから。もしかしたら変わってる可能性もあるからね。けど、変わってなさそうだね。ミーナちゃん。」
にこにこと私の手元を見ながら彼は言った。
一瞬なんのことを言っているのかわからなかったが、「あ、うん。結婚はしてないよ。」と答えた。
「‥結婚は?」
「‥?うん」
少しうつむいて悠人君は聞いてきた。
「結婚はってことは彼氏はいるの?」
「彼氏もいないよ。」
悠人君にこんなこと聞かれるの嫌だなと思った。よりによって彼氏がいてるかなんて…。
「…ごめん。久しぶりに会ってこんなことを直球で聞くのはアレかなーっとは思ったんだけど…ずっと気になってたんだ…。ミーナちゃんのこと。大学まさか地方に行くとは思ってなかったし、高校卒業してから携帯変えたみたいだったし…。誰もミーナちゃんの連絡先知らなかったから、同窓会でも会えなかったし…」
そうだ。私は逃げ出したのだ。
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