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私と京くんはあの夏、色々な事を得てなんと付き合う事になった。本当に色々な事があった。しかしそれも全て二人で乗り越えてきた。
私と京くんは似た者の同士だった。私があの時屋上に行ったから今の私達がある。縁とは本当にあるものだと授業を受けながら私はそんな事を思った。
窓の外には木枯らしが吹いていて、グラウンドにある木が寂しく揺れている。
季節はもう冬になっていた。
「じゃあ今日はここまで」
先生の声とチャイムの音が重なり、授業の終わりを告げる。その音が鳴り終わると何人かの生徒は通学鞄を手に取り早足で教室の外へと出た。
私もそれに続いて教室を出る。廊下には沢山の生徒がおり、みんな授業から解放されその表情は穏やかなものになっていた。
「京也! 」
隣のクラスから先生の大きな声が聞こえた。
何事だろうか?
私は隣の教室の方に足を進めると、教室から京くんが飛び出してきた。
「一緒に帰ろうか」
京くんの優しい声が胸に染みる。
「えっ、でも…… 」
私はチラリと教室の中を見た。
「いいから、いいから」
京くんはそう言うと私の手を強く握り、そのまま駆け出した。私はその手を強く握り返し京くんに手を引かれるがまま廊下を走り抜けた。
しかし、私は見てしまった。走り抜ける廊下の中、勝也が私の顔をじっと見ていたのを。
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