弟の結婚 三

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「用件だけにしろ。無駄に割く時間はない」 あの・・・・・・貴文さん。俺を腕に抱いての言葉には、説得力がないかなーって。それでも、貴文さんが口にしたことは決定事項だ。細く白い指をふっくらと、艶のある唇にあて 「いいわ。譲ってあげる代わりに条件をーつ、少し早い昼休憩にしましょう」 横川さんが微笑した バタバタとやりかけの仕事を片付け、パソコンを閉じる。脚が凹んで斜めになったデスク交換は、残る伊藤さんが請け負ってくれて、桜田が場所を確保してきます、企画フロアを出て行こうとしたとき 「待って下さい。僕はどうすればいいんですか」 わざわざ、貴文さんの前に立ち、丸山が言う 企画フロアに入ってから、丸山を意識しない貴文さんに果敢に声をかけてきた根性は認めるけど、あまり貴文さんに近づいて欲しくない。そわそわした気分で、様子を窺っていると 「・・・・・・・・・・・・」 まったく変化がない えーっと、貴文さん、空気扱いはダメだと思います。無視とかでなく、ここに柱があったかな、程度の認識しかされてない丸山の頬がピキピキに、強張ってる 恋のライバルだけど、これはちょっと、かなり気の毒だ 「尊敬する木山部長の用意された特注のマスクが欲しくなり、嫌がる木山さんに近づいたのは僕です」
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