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「構わねぇが、詳細を教えくれ」
「1月7日。いま決まってるのは衣装と日取りだけ」
ううーん?
大事なことは決まってるんだけど、翔の説明は説明になってなくて、釈然としない
「何を考えてる」
「常識と逆のこと」
えー? 翔、それって
「いつもと変化ないやつ」
「そだっけ? まあ、でも」
片目を細めた翔の纏う雰囲気が何だろう、何か違う気がする
「心配すんな、ルール破るわけじゃねぇから」
ほら、やっぱり
柔らかな微笑を浮かべた翔の顔をマジマジ、見ていたら
「なあ、いったい誰の結婚式の話をしてるんだ」
父さんの拗ねた声が響く。そうそう、それは俺も知りたい
「あれ、言ってなかったっけ」
言ってらっしゃいませんね
「俺」
オレ? 俺って、まさか
「ええーっ、翔の?」
身を乗り出した俺の腰に
「怪我するぞ」
太く逞しい腕が巻きつく。あ、靴玄関だった。ヒョイと抱えられ、静かに右の太腿の上に下ろされる。鼻先で香る貴文さんの匂いに、家族の視線がある状況を忘れ、吸い寄せられるように身を寄せ
「翔、父さんにその子を紹介してくれ」
ハッとした
恥ずかしい、肩に埋めた顔をあげられない。俺の背を抱く貴文さんはきっと、気づいてる。俺の吐く息が熱いことに。求めるってことは、身体が元気を取り戻した証拠なのだろうけど、場所と状況を考慮して欲しい
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