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「紹介・・・・・・は」
言葉を切った翔の長い指を顎にあてた姿が脳裏に浮かぶ。あれは、悪知恵を働かすときの翔のクセ
いい調子、このまま翔に意識を集中しろ
「プロポーズが成功した時にする」
だったら、紹介してくれる日は近いはず。思ったけれど、恋人が、少年のころから夢見ていた結婚式を超える式を挙げるため、プロポーズは当日にするという
えー?
言いたくなる不満もあるけれど、それ以上の嬉しさもある。式と名のつく行事に参加したことのない我が儘で、気短で、同じ場所にじっとしていられない翔は
「圭吾の妹と圭吾の幼なじみが二人の抱えた問題を解決するって条件で、ダミーと圭吾の家族との仲介役を承けてくれたってわけ」
出逢ったのだと思う。自分の信念を変えるほど愛しい人に
どんな子だろう
翔が恋した圭吾くんにはやく、会いたいな
「疲れただろう。先に風呂へ入ってこい」
帰宅してからずっと、目線を逸らされてる
優しい人だから、俺の体調を気にかけてくれてるのだと思うけど・・・・・、求められてないようで、寂しい
「うーん、どうしよう」
湯船に浸かって考えても、ちっとも案が浮かんでこない。長湯は心配かけるだけだから、重く湿った息を吐き、濡れた肌をふわふわのタオルで拭い、湯上がりの肌にさらっと馴染む着物に袖を通して、キュッと帯を締めた
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