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俺を抱き込む貴文さんの腕が、吐く息が熱い。耳に押し付けられた唇から
「許せ。俺の理性は粉々だ。瞭が欲しい」
喉を通り、胸から全身へ熱が広がるような、切羽詰まった囁きに泣きそうだ。待ってる、俺の返事を。いつだって、自分の欲望より俺の意思を尊重してくれる貴文さんの、衝動を抑え込む荒く、苦しそうな息を聞きながら
「俺も・・・・・・欲しいです、貴文さんが」
広い背中に爪の先まで熱でじんじんする手を、回した
「んん・・・・・・っ、あっ」
肌に小刻みに吸い付きながら首筋から、胸へ滑りおりる唇。入院する前、日常的に感じていた引き締まった筋肉質な身体の重みが愛しくて、ほんの少しだけ、征服されてしまいそうで怖い気もする。聡い人だから、俺の中に潜む恐怖に、気付いていたのかも
「つけたかった。瞭の肌に、俺の刻印を」
トクン、心臓が跳ねた
泣きそうで、嬉しそうでいて、独占欲の滲む囁きは俺の緊張をとかし、恐怖も飲み込んでいく。愛しくて、ただ愛しくて。震える指で汗ばんだ彼の頭を抱き
「貴文・・・・・・っ、さん あっ、愛して、ます」
ペロ
長い舌で俺の胸の尖りを舐めてから、身を起こした彼の唇が
「俺も愛してる」
笑みを形作った
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