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「動くな丸山!」
桜田が怒鳴った
「うわっ、ビックリした」
肩をぴくり、震わすに止まった丸山と違って、俺は椅子の上で飛び上がるくらい驚いた。バクバク鳴る胸に手をあて、振り返って立てた手刀を顔の前にかざす桜田に、庇ってくれたのに俺こそごめん、頭を下げていると
「そこまでだ丸山くん。これ以上木山くんに近づくつもりなら、セクハラとして対処する」
伊藤さんが腕を伸ばしストップ、丸山へ手の平を向けた
セクハラって・・・・・・
パワハラだ、と騒がれかねない言い様にはらはらしてしまう
「誤解ですよ。僕はマスクを預かりたいだけデス」
丸山は楽観的な性格らしい。にこっ、茶目っ気たっぷりの笑顔を伊藤さんに向ける彼にホッとして、肩の力が抜けたけど
「それが駄目なんだ。木山くんから品を奪うなんて暴挙を木山部長が許すわけないだろう」
うーん? 何だろう
「ああ、そっちか」
何かが欠けているような気が・・・・・・
「分かったら下がって」
「だったら、木山部長と交渉するのは問題ないってことですよね」
思考を止めて丸山を見た。彼は、このマスクに拘りすぎじゃないだろうか。メールで済む内容でわざわざ、企画課へ顔を出すのも
「好きにするといい」
貴文さんと話すきっかけが欲しかっただけ。というのは俺の、考えすぎだろうか
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