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首を振る俺を映しだす炎のように青白く炯る瞳が
「そうか」
微笑った
不意打ちの笑顔にキュンキュン、胸が高鳴りすぎて全身から力が抜けてしまい、ぽすん、彼に身を委ねた
「随分、熱心に見てるのね。覗き趣味でもあるの?」
あ、横川さんだ
「うっわあっっ!」
全身の筋肉を張り詰めさせた貴文さんが俺の背と、膝裏に腕を回して
「あらごめんなさい。そんなに驚くなんて、図星だったようね」
俺を身に乗せたまま
「違っ、アンタが背中を指でツツーっとしたりするからっ」
腹筋で起き上がった
うう・・・・・・格好いい・・・・・・。興奮した頭に血が上りすぎて、鼻血が出そう
「まあ、そういうことにしてあげてもいいわ」
くすくす忍び笑いがフロア内に満ちる。横川さんにおもちゃにされ、あしらわれた丸山は涙目だ。ぐっと唇を引き締めた丸山は
「おいアンタ、ちょっと待てよ」
横川さんの背を追う。途端に、殺気立つ男性社員にまったく、丸山は気づいてない
「桜田。瞭が場所を移動した理由、把握してるか」
「はい。把握してます」
「聞こう。横川、お前もだ。俺に用があるんだろ」
長い髪をさらりと揺らし、振り返った横川さんは丸山を見つめて
「ええ。私を追ってきた彼もいいかしら? 何の用か、気になるのだもの」
口元にチラリ、楽しそうな笑みを浮かべた
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