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シーンと静まり返った室内でドキンドキン、心臓の鼓動が大きく響いた数秒後。貴文さんに変化がないと知った企画フロア内に、平素と変わらないざわめきが戻る
フーッ、フーッ
噛み締めた歯から息を吐く丸山の様子が怖い
「準備はいいか、瞭」
丸山がこっちを見た。白眼を充血させた目に
「あ・・・・・・」
怯えを感じて
「おい、そこの制作」
しまった!
思った時にはもう遅い。初めて丸山に反応した貴文さんの冷たく凍えた目は、息が止まりそうに怖くて。必死だった。丸山へ向かって、足を踏み出そうとした貴文さんの腕をぎゅっ、しがみつくように胸に抱く
離さない、絶対に、何があっても
前にしのぶくんを殴ったとき、待たされる時間は長くて、俺のためにやったことなのに、責められる貴文さんの手助けもできなくて、辛くて悲しくて、失ったらどうしようって恐怖に身を震わせることしか出来なかったから。柔らかく、髪を撫でる優しい手つきにホッとして
「大丈夫だ、殴ったりしねえ」
ぽろぽろ涙が溢れてしまう
俺が落ち着くまで「信じろ、大丈夫だ」髪を撫でて、囁き続けてくれた貴文さんが好きで堪らない。好きの気持ちは抑えようがないから、丸山の貴文さんへの想いは止められないけど、貴文さんへの愛の大きさではぜったい、負けない自信がある
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