弟の結婚 三

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勤務中だからと、俺を抱き上げた貴文さんが廊下へ出た。丸山もついてくる あーあ・・・・・・ 愛の大きさでは負けないけど、見つめ合う二人の姿を間近で見せつけられるのは辛い。広い肩に顔を埋めてると、貴文さんの足が止まった 「瞭のことに関して、お前から聞くことは何もない」 淡々とした口調で言う 淡々としてても、低く張りのある声は耳に心地よく響く。この声に甘さが足されるとぽっ、体の奥が温かくなって、熱い息が漏れる 「僕が、木山さんが腰から転んだ原因であっても、ですか」 匂いも好き じっとり汗ばんだ肌から香る、濃い男の匂いに瞳が潤む 「必要ない」 んっ 身動ぎしたら布の擦れ合う音が響いて、貴文さんの体が少し膨らんだ。筋肉を張り詰めさせたのは、なぜ? 「どうして・・・・・・っ、必要ないのか教えて下さい」 ドン、右足を階段に置いた 話、終わったのかな? 顔はあげずに、耳に意識を集中して 「呑み込みの悪い奴だな。お前がどうこうしたから、瞭が危険な目に遭ったわけじゃねえ。職場の安全確保を見落とした俺に落ち度がある。状況を把握し、その穴を埋めるのに客観的な視点は必要だが、お前個人の視点は要らねぇな」 魔法のように不安が消えた 貴文さんに恋する人と、貴文さんが見つめ合ってももう怖くない。だって、俺はこんなにも大きな愛で包み込まれてる。ぎゅっと、首に回した腕に力を込めた
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