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胸がざわつく
「美しさだけでなく体質も、遺伝を・・・・・・」
耳にしたことのない弱々しい声は途切れ、息を詰めた貴文さんは言葉を紡げない
「難病を患っていたけどね、誰よりも彼女の心は強かった。婿殿、瞭に妻の病は遺伝してない。そう断言できるよ」
「そう・・・・・・、でしたか」
貴文さんっ
詰めていた息を吐き出し、安堵に声を震わせる彼の苦悩を俺は、気づいてなかった。穏やかに微笑む貴文さんはいつも泰然としていて、余裕があって・・・・・・
「そうだよ婿殿。大丈夫、瞭は大丈夫だから」
バカだな
貴文さんが俺に見せなかっただけ。不安を強い光を放つ瞳の下に隠し、俺を支えてくれていたんだ
俺がメニエール病を発症したのは、貴文さんと付き合う前。残業続きで体がだるい、そう感じてたのはメニエール病を発症してたせい。甲状腺もあると分かったのは先月のこと。就業時間中急に息切れがして、胸が苦しくて、体が重くて。座っていられなくなった俺を
『瞭っ!』
貴文さんが病院へ連れて行ってくれて
『風邪とは違う気がします。男性の発症率は少ないのですが念のため、甲状腺を調べてみましょう』
検査の結果、甲状腺の病気が確定した。甲状腺機能が低下したり、亢進したりと不安定ななか、甲状腺がメニエール病を誘発する可能性があったとかで、病状が落ち着くまで時間がかかってしまい、また、貴文さんと職場の皆さんに迷惑をかけたばかり
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