弟の結婚

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貴文さんの温もり感じて、風に揺れる秋桜を眺めながら縁側で飲むお茶は、格別に美味しい。そんな穏やかで静かな時間をブォンブォン、激しい爆音が壊す 閑静な住宅街で派手な爆音を響かせるのは 三輪車で暴走し、自転車で暴走し、バイクで暴走した翔しかいない。だが、爆音を響かせても近隣から苦情がきたことはない。なぜなら 「何だよ、揃ってご隠居してんのか」 ヘルメットを外し、現れた異常に高い偏差値を誇る綺麗な顔で、ご婦人方のハートを鷲掴みにしてるからだ 「仲間に入りたいならいれてあげるよ」 「ごめんね? 若者だから意味なく茶を飲む習慣がねぇんだわ」 くーっ、ムかつく! こんなに口が悪いのに、顔で許されるなんて世の中おかしい 「親父、暫くバイク預かってくれ」 「暫くっていつまで?」 ヘルメットを倉庫に片付け、カバーをかけたバイクを翔がポンポン、二回叩いて 「分かんね。兄貴、結婚式の司会進行役してくれよ」 貴文さんの前に立つ 分かんね、ってお前そのバイク、学生時代にバイトしまくって手に入れた宝物だろう。見れば、父さんの眉が八の字に下がってる。けど、既に話題は結婚式へ進んでるからいま真意を訊いても翔は、無視して答えない ・・・・・・後で聞こう。誰の結婚式の司会を貴文さんにさせるつもりか、気になるし
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