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次に意識が戻った時、僕はベンチで横たわり
眠っていた。
全身の感覚がヒリヒリと焼けつき酷く傷んだ。
傷む頭を無理やり起こし辺りを伺うと、
僕の目の前にはぼろ布を纏った老人が、
僕の財布らしき物の中身を物色していた。
「あの~何してるんですか?」
老人はその声に慌てて僕の方に振り返り、
おどおどし始めた。
「いや。違うよ。勘違いしないで。
僕はただ君の身元がわからないか、
調べてただけだから」
老人は慌てて財布を自分の背中に隠し、
そう言っていた。
「あの~
財布・・・ 」
老人はその言葉で自分の背中に隠した財布の存在に気がついたように再び慌て始めた。
「かえすよ。もちろんかえすよ。
ほら君の財布かえすからね」
そう言って埃を払うような仕草をすると、
老人は僕の財布を差し出した。
この老人が何者なのかはわからないが、
おそらくはこの公園に住み着いている
浮浪者なのだと思った。
とにかく誰だろうと人が来てくれて助かった。
あのまま誰も来なければ、
僕はどうなっていたかわからない。
僕は傷む頭を抑えながらお礼を言った。
「ありがうございます」
老人は唖然として僕を見つめていた。
「へ?」
「助けていただいたんですよね」
「あっ!?
いや、たいした事はしてないから。
それよりまだ無理しないほうがいいよ。
もう少し寝てたほうがいいよ」
僕はその言葉に再び横になりかけて、
ふと思い出した。
そうだ奴はどこへ行った。
彼女の携帯を奴はどこで?
彼女は無事なのか!?
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