迷走のとばりの中で

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僕はどれくらい意識を失っていた。 公園に時計がないか辺りを見渡し 何も無い事に気づいてあせる。 そうだ!携帯!? 僕は慌てて携帯を確認しようと手にしたそれを 見ると、それは携帯ではなくスタンガンだった。 そうだ僕はあの時スタンガンを握りしめ、 そのまま死後硬直した様に握りしめたまま 気を失っていたのだ。 僕はそのスタンガンをポケットにしまい、 かわりに携帯を出して時刻を確認した。 時刻は7時30分。 いやここに来た時刻がわからなければ、 気を失っていた時間はわからない事に気づく。 「すみません僕どれくらい意識を失ってましたか? 」 「えっ君が倒れてたの? 僕が見つけてからだと30分くらいかな。 いつから倒れてたかはわからないけど」 30分・・・ 彼女は無事なのだろうか? 奴が彼女を襲って携帯を盗んだとすれば。 彼女を探さなければ。 僕は傷む体を無理やり起こし立ち上がる。 途端に立ち(くら)みがし、ベンチに膝をついた。 ジャングルジムの様に世界が回っていた。 「まだ休んでたほうがいいよ」 老人は慌ててそんな僕をベンチに座らす。 「すみません。 僕は大丈夫ですから」 全然大丈夫じゃない声でそう言うのが やっとだった。 そうだこの老人は何か見てないだろうか? 「すみません。 この辺りに髪の長い女子高生を見ませんでしたか?」 「いや君以外は誰も見てないよ」 「そうですか・・・ 」 一刻も早く彼女を探さなければ。 そうだ彼女に電話をすれば!? 僕は手の中の携帯を見つめすぐに(あきら)める。 そうだった、彼女の携帯は奴が持ってるんだった。 いや待てよ。 だとすれば携帯の着信音で奴を探せるんじゃ ないだろうか。 犯人は犯行現場に戻ると言う。 奴がまだこの辺りに潜んでいれば可能性はあった。 だいぶん落ち着いて意識が覚醒してきだした。 それと共に失われていた感覚が戻り、 手のひらがヒリヒリと焼ける様に傷むのを感じた。 見ると僕の手の中は焦げてあかぶくれしていた。 その感覚が、あれが現実であったのをまざまざと 知らせていた。
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