迷走のとばりの中で

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  僕は凛火(りんか)と叫びそうになるのを咄嗟(とっさ)に抑える。 相手が凛火とは(かぎ)らない。 もしフードの人物なら。 そう思う心が行動を(にぶ)らせた。 だが今まさに襲われてるとしたら、 そう思いいたって僕は大声をはりあげた。 「凛火(りんか)いるのか!!!」 『なに!?聞こえないよ』 (かす)かだが女性の声が聞こえた。 それも僕の手元から。 僕は手元を見つめ、 その声が携帯から聞こえているのにきづいた。 僕は手にした携帯を耳につける。 『白木(しらき)くん。白木くん』 それは霧島凛火(きりしまりんか)の声だった。 「良かった無事だったんだ」 僕がそう言うと彼女は戸惑(とまど)った(よう)にたずねた。 『白木くん?  何かあったの?』 僕はどう説明したものか思案(しあん)しながら(しゃべ)った。 「いやなんでもない。  それより携帯無くしてたんじゃないの?」    
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