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「どうしたの?
白木くん?」
凛火が僕に話しかける。
僕はなんだかわからない違和感に、
誰もいない教室を見渡していた。
まるで現実が現実でないような、
夢と現実が入れ代わったような漠然とした違和感。
「大丈夫?」
「ああごめん。
なんでもない」
翌日早朝僕は、
まだ誰も登校してない教室に来ていた。
ただ一人、同級生の女の子を除いて。
僕の迎いの席には未来人が座っていた。
霧島凛火。
未来と交信する少女。
その少女と今僕は交信している最中だった。
急に黙りこんだ僕を心配げに見つめる彼女。
途中約束の時間に遅れかけて、
遮断機の降りた踏み切りをくぐっり
ここまで駆けて来た。
その時から妙な違和感は感じていた。
誰かに見られてるような違和感。
まあそれは社会のルールを破った罪悪感からくる
錯覚だったのかも知れない。
「本当に大丈夫?」
話の途中で黙りこんだ僕を心配して、
凛火は僕にそうたずねた。
僕は気を取り戻し話の続きをしだした。
「霧島さん」
「かたすぎ」
「凛火」
「慣れ慣れすぎ」
「霧島凛火さん」
「取り調べみたい」
「凛火様」
「下僕みたい」
「霧島様」
「狂信者みたい」
僕と霧島は何をしてるかと言えば、
永遠とお互いをどう呼ぶかについて議論していた。
「凛火殿」
「ぷっ!」
彼女は吹き出し喜んでいる。
「なんかバカ殿ぽい」
「なんだよ姫」
「うんそれいいかも。
これからはそちは、妾を姫と呼ぶように」
「じゃじゃ馬姫」
「んっ?
なんか言ったかな、おとぼけザムライ」
「は~」僕は嘆息を吐きながら、
話が進まないので姫と言うことにしとく。
「姫、お戯れはそれぐらいにして、
昨日の事を話し合わないと」
彼女は満面の笑みでうんうんと応じた。
僕はかいつまんで昨日の事を姫に報告した。
「それで君は昨日携帯を無くしてないんだね」
「うん充電が切れて、しばらく放置してたけど」
「その間に誰かが携帯を盗みだし、
また気づかれずに戻したと考えるには、
無理があるか・・・ 」
「うん無理だと思う」
いやそもそも盗み出さなくても、
一瞬僕に電話がかけれればそれですまないか!?
だとすれば、それが出来るのは家族の誰か。
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