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それから僕達は緊急時に備え携帯番号を
交換したのだが、そこで新たな事実が発覚する。
彼女の言葉を信じるなら、
彼女の携帯に交換した覚えの無い男子の番号が
大量に登録されていたのだ。
その数クラスの半数以上。
ここから導きだされる答えは、
僕にはあまり嬉しいものではなかった。
「おそらくは、君が助けを求め交換した男子達だ。
時間を巻き戻る際にその記憶は無くなっているけど
、携帯だけはその痕跡が消えず残るらしい」
・・・
「なんか、ごめんなさい」
彼女は意識的にこちらを見ずにそう呟いた。
「はっはっは。
大丈夫、想定ないだから・・・
僕に一番に相談に来る女子なんていないって、
客観視するだけの常識はあるから・・・ 」
なんか傷口が広がっている。
僕の顔をチラリと見て彼女は再び謝る。
「本当、ごめんなさい」
やめて~~~
それ以上あやまらないで~
告白もしてないのにフラれたような焦燥感が、
全身を包んだ。
ズキズキと胸を刺す痛みを教訓に、
僕は密かに心に誓うのだった。
彼女には間違っても告白するのはよそうと。
「あっ!
メールが来てる!?」
「えっ!見せて見せて」
僕が携帯を覗き込もうとすると彼女は慌てて離れた。
「ダメ!?
プライベートな事まで書いてあるから」
彼女は顔を真っ赤にし携帯を隠してしまった。
「ちょっと待って」
彼女は僕に背を向け何か携帯を操作すると、
その携帯の画面を見せた。
そこには宛先不明のメールと共に、
未来レポートの文字が件名に刻まれていた。
「とにかくこれで決まりだな。
君は時間を巻き戻っている」
「うん」
彼女は恥ずかしそうに俯いて頷いた。
それから僕たちは安全を喫し、
一緒に下校する事にした。
予言では彼女が死ぬのは明日の夕刻。
今日は安全なはずではあるが。
僕に相談する未来は初めてで、
それで未来が変わってないとも言い切れない。
まったく下心が無かったと言えば嘘になるが。
彼女の安全を最優先で考えるなら、
これがベストなはず。
そう言い聞かせ、
人生初の登下校を漫喫するのだった。
ここでにわか雨でも降ってくれれば、
相合い傘なんて言うレアなサプライズになるのだが
、世界はそこまで童貞に都合よく回ってくれては
無いようだ。
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