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「どうせなら好きな場所がいいなと思って。そしたらミケのこと思い出してさ。俺もここだと思える場所で最期を迎えたいなって」
「一人で行くの?」
思わず尋ねていた。一人で行ってしまうのか。ミケのように、野本も。
「うちの両親なら大丈夫だよ。あいつら仲いいし。二人にしてやったほうが親孝行だし――」
「私も行っちゃだめ?」
それは本当に自然と口から出ていた。
私の言葉に野本が驚いたように目を丸くする。
「えっ、でもお前」
「うちも大丈夫。うちの親も二人でいたほうがいい」
それよりも野本を一人で行かせたくないという思いのほうが強かった。
ミケを失ったとき、野本は泣いていた。
あの頃はまだ二人とも小さくて、私は泣いている野本になんと言ったらいいのかわからず、ただ隣にいた。
今も野本は一人だ。私にできるのは今も昔も変わらずそばにいること。
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