君と探す、最期の場所は

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晴れ渡った青い空に夏らしいもこもことした白い雲が浮かぶ。 その青空を轟音とともに宇宙船が一機、太陽を背にまっすぐ天に向かって飛んでいく。 私はそれを通学路の途中で足を止めて眺めていた。 昨日も一機、同じような時間帯に宇宙船が飛んでいくのを見た。 地球に隕石が落ちるとどこかの国の研究者が発表したのは去年の夏のことだった。 報道されて最初は誰も信じなかったけれど、事実隕石が地球に向かっていることが分かってから、世界は混乱した。 隕石は地球に落ちる。 そして人類だけでなく地球上の生物は皆滅ぶだろう。 この情報に慌てて世界の各地から宇宙船が打ちあがるようになった。 世界のお金持ちがなんとか生き残ろうと宇宙に逃れたのだ。 けれど宇宙に逃れたところで人の生きることのできる星を見つけることができなければ、宇宙船の中で死ぬことになる。 生きることのできる星を見つけられずに宇宙船の中で死ぬのと、落ちてきた隕石で死ぬのとどちらがいいだろう。 私は、わずかな希望をたよりに打ちあがる宇宙船をアスファルトの道の上からその影が見えなくなるまでずっと見上げていた。
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