君と探す、最期の場所は

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野本とは幼稚園から中学までずっと一緒で、小学校の低学年の頃は特によく一緒に遊んだ。 野本は小さい頃からバスケが好きでよく一緒に混ぜてもらって遊んでいた。 けれど中学に上がる前、私は急に男の子と一緒に遊ぶのが恥ずかしいと感じるようになった。 きっかけはクラスの女の子と一言だ。 「男子と一緒に遊んでるの?」 それまで男の子と遊ぶことに何の抵抗もなかったが、クラスの女の子の驚きと軽蔑の籠った声に急に恥ずかしくなってしまった。 「高柳、バスケしないか?」 そう言って休み時間に誘ってくれる野本に私は首を横に振った。 「いい。クラスの子としゃべるから」 そう言って野本に背を向けて、私はクラスの女の子たちの輪にまぎれた。 そのとき、野本がどんな顔をして私を見ていたか、私は知らない。 私はひたすら野本の顔を見ないようにしていた。 それから中学に上がって野本とは顔を合わせれば軽く会話はするけれど、こうして遊ぶことはなくなった。 「あれ以来だな……」 私はドリブルをしながら目の前にいる野本を見て思った。 すっかり背も高くなって、男の人になってしまった。
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