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その夜の夕食。
リビングでは、テーブルの上にお父さんの好きな肉じゃが、神楽の好きな唐揚げが、山のようにお皿に盛り付け置かれている。
神楽は、扉側に座りその隣が私の席。
体からほかほか湯気を立て、お風呂上がりのお父さんがやって来た。
「ああ、気持ち良かったー」
お父さんは、そう言いながら私の前の席に座り
、お母さんがグラスに注いだビールを、本当に美味しそうな顔をして飲み干す。
空いたクラスに気づいた私は、ビール缶を手に持り注いだ。
突然、お父さんの顔が赤くなる。
「あっありがとう・・・」
酔ったのかと思って、心配になった。
「大丈夫、もう酔ったの?」
私がそう聞くと、母がうれしそうにニヤニヤして答えた。
「違うわよねぇー!美香梨にお尺してもらって、照れちゃってるのよねぇ」
「えっ・・・」
「もう、えみちゃん からかわないでくれ!」
お父さんは、私の事を本当の娘だと思っていてくれている。
それは、うれしいけど・・・でも、心からは喜べない。
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