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胸の痛みが、もうすぐバッドエンドの鐘が鳴ると囁いているのを無視して眠りに落ちた――。
「どう?就活。うまく行きそう?」
大学構内の食堂で少し早めのランチ。お互いに二時限目は空き時間だった。ここの食堂は人気で、二時限目が終わってから来たんじゃ座る席がないのだ。
「うーん……。ぼちぼちかな。そもそも僕は公務員志望だし、決まるのはもう少し後かな。青子は?」
「そっか。……私はちょっと立ち止まっちゃってるかも。どうしようかなって。」
大根おろしバーグを口に運びながら、神妙な面持ちで青子は言った。
四回生の僕らにとって避けては通れない就職活動。一度非正社員になるとその後が圧倒的不利になるから、皆必死で活動する。黒いリクルートスーツを着て、思ってもいない志望動機を引っ提げて、誇大表現の情けない自己PRを語って。そんな、滑稽で馬鹿げた活動。
「あれ?青子はUターンするんじゃないの?金融業界受けてなかった?」
「うん、そのつもり……だったんだけどさ。なんか違うのかなって。私、本当にこれでいいのかなって。」
「東京じゃ選択肢は確かに多いかもしれないけど、その分倍率も高いし。地元で貢献したいって言ってなかった?」
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