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僕は一緒にご飯を食べようと思い、まだ手を付けていなかったのでとてもお腹が空いていた。いつもより早く着替えを済ませてきて、「いただきまーす!」と小さな口いっぱいに頬張っている姿を見ると安心する。
「んー!本当に蒼衣は料理上手だよね!持つべきは主夫よねぇ。」
「おいおい……。僕は君の執事じゃないんだけど。」
「でも私料理下手だからさ。貴方がいてくれないと毎日コンビニ弁当だよ?たぶん。」
そんな不器用なところも含めて全てが愛おしかった。どんな宝石にも劣らない輝きと儚さを持っている彼女の笑顔。それが僕にとって一番の癒やしなのだ。そう、僕だけの輝き。誰にも知られたくないのに。
「そういえば青子。今日いつもより帰り遅かったね。寄り道してたの?この辺いくら大学が近くて学生街って言っても、街灯少ないし……。この間不審者騒ぎあったじゃん。」
「もー。心配し過ぎよ。私だって行きたい所くらいあるもん。まぁ確かにこの辺の夜道は怖いけど……。どこ寄ろうが私の勝手でしょ?」
「……そうだけどさ。」
確かに青子の言う通りだ。彼女はロボットじゃない。プログラムの外を生きる人間だ。行動を制限することなんてできない。でもやっぱり僕だけの君にしたくて。せめて二人でいるときは僕だけのものでいて欲しかった。
以前より会話の減った夕食を終えて、ぼんやりと食器洗いをする。何となくこの部屋に暮らし始めた当初を思い出した。
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