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また歩き出して、俺はこの前2度目に輪姦されたことを話した。
本当は直也にも優しい一面があるってことを話したら立ち止まるほどに驚いて、顔をうつむかせる。直也は、その優しささえも押し潰してしまうほどに歪んでしまっている。
もう、直也を救うことはできねぇのか?直也が自由になる方法はないのか?
「……そうか、残念だな。シオンがそこまでしても救われることを拒むんだったら、もう終わりにするしかないね」
「先生?終わりって、何だよ?」
「俺も、直也だけはこの手で苦しめて苦しめて、死の恐怖をたらふく味わわせてから殺してやろうと思っていたんだよ。嘘、本当は今でも思っている。けれど直也にだって歪んでしまったきっかけがあるんだろうから、どうにかして更生できないかって考えていた。それができないなら、終わらせてやるのが直也のためだ」
先生は浅い溜め息を吐き、もう1度「残念だよ」と呟く。その口調は淡々としていて、恐怖を感じる。
わずかににじみ出た殺気が、先生が本気で直也を殺そうと考えているんだと主張する。それが、直也が俺を何度も傷つけ汚したからって理由だって、うぬぼれてもいいか?
もしそうなら嬉しい。けど、だめだ。俺は先生の前に回り込んで、叫ぶ。
「先生が手を汚すことはねぇよ!あいつなんかのために、そんな。先生が人殺しになったら俺、先生に会えなくなっちまうじゃんか。先生のそばに、いられねぇ……」
もしも先生が直也を殺してしまったら。先生は罪を償うため、素直に自首する。そしたら俺達は離れ離れ。
そんなのは嫌だ。せっかく俺、先生にこの想いを告白しようって決めてんのに。また会えなくなっちまったら俺……
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