冷たい体と熱い想い

8/13

319人が本棚に入れています
本棚に追加
/811ページ
「ふぅ、やっと大人しくなったね。じゃあ、僕の家に連れて行ってあげる。お父さんもお母さんも知らない僕の家。2人でずっと暮らすんだよ。いっぱい可愛がってあげるからね。あぁ、最初からこうしてればよかったんだ」  ぐったり動かなくなった俺の腕をつかんで、引っ張り上げる直也。  もう、今度こそ逃れられない。俺は狂った直也に飼い殺しにされる。後悔しかない。あの時、あぁすればよかったと。  はっ、今さら過ぎる。何もかも、俺は間違ってたんだなぁ。  ズルズルと泥の上を引きずられ、直也が用意していた車に押し込められる。そう覚悟していたのに。急に体が自由になって地面に叩きつけられた。 「殺してやるッ!!!!」 「っ、ぐうっ!かはっ!な、何なんだよあんた……ぎ、あぁっ!!あ、あんたも、そうだったの、か……っ!」  重たいまぶたを開いて、なんとか上半身を持ち上げる。するとそこには、大きな獣に押し倒されている直也がいた。  真っ青に青ざめ両腕を押さえつけられている直也。その直也に今にも食らいつこうと「グゥルルルルル……」と牙を剥いて唸っているのは、体長4メートル近くある巨大なライガー。  金色に光る瞳は獰猛で、その眼光だけで相手を殺してしまいそうなほどに殺意に満ちている。巨大な体を、禍々しいほどの殺気が包んでいる。  体重400キロ近くある巨大なライガーに踏みつけられている直也の両腕がミシミシと嫌な音を立て始めた。  押し倒される前に1発殴られている頬は赤黒く腫れあがり、口から血が流れる直也はさらに体重をかけられ絶叫。
/811ページ

最初のコメントを投稿しよう!

319人が本棚に入れています
本棚に追加