冷たい体と熱い想い

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 徐々にライガーの大きな顔が直也の喉元に近づいていき、ついに直也は「い、嫌だ、死にたくないッ!!」と本音を叫ぶ。  迫りくる死の恐怖に震え、涙を流す。ギュッと目を閉じた。  グアッ!とライガーが大きく口を開け牙を剥いたのと、俺が「だめだッ!!」と叫んだのは同時。ライガーの、先生の動きがピタリと止まった。 「ごふっ!ゴホッゴホッ……はぁ、はぁ、っ…………だめだって、先生。俺が絶対に、殺させないって……言っただろ……」  先生の本当の姿なんて初めて見た。でも初めて見るのがこんな時だなんて。  本性を、殺意を剥き出しにしてしまうくらい、先生は怒りと憎悪に呑み込まれてしまっている。先生、言ってたもんな。直也を殺そうと「今でも思っている」って。  戻って来てくれよ、先生。俺の声が聞こえるだろ?ご自慢の“大人の力”ってやつを使って、直也を終わらせてくれるんだろ? 「先生は……先生だけ、は、俺が…………守る……」  もう無理だ。力が入らねぇ。俺は先生が人間の姿に戻って、「っ、あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」と叫びながら高く振り上げたこぶしを勢いよく振り下ろすのを見たのを最後に意識を失った。  殴りつけたのが直也じゃなくて、直也の耳スレスレの地面だって、地面を伝ってきた振動でわかった。  あぁ、良かった。先生が、直也を殺さないでくれて。
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