冷たい体と熱い想い

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「ーーはーっ、はーっ、はーっ、はーっ……クソッ!…………直也。お前を、お望みの牢屋にブチ込んでやるから覚悟しとけよ」  って、もう聞こえていないか。確実な死を感じて失神してしまった直也を放置して、俺はユラリと立ち上がる。  人間の姿に戻っても力加減ができなかったし、ライガー特有の強大な力のせいで直也の顔の横には大きなクレーター。じきに、大きな水溜まりになる。  振り返ると公園の入り口に停めてあった、直也が乗ってきたらしい車がない。専属の運転手が直也を見捨て、父親に通報しつつ逃げたか。  つくづく、かわいそうな奴だよなぁ。すでに弱っている擬人化種の男をボコボコにしていても、止めることも注意することもない。逆に大きなライガーに襲われ、殺されそうになれば捨て去られるなんて。  まぁ、いい。どうせすぐに直也は罰を受けることになる。今までの犯罪全てが明るみに出て、長い長い償いになる。両親の力は役に立たないぞ。  その手前。血と泥で汚れたまま気を失っているシオンに俺が羽織っている上着をかぶせ、抱き上げる。  ケータイでタクシーを呼び出し、乗り込む。全身びしょ濡れの俺、上着をかぶってはいるが意識がなく血まみれのシオンの姿に運転手は、当然驚いた。 「すみません。弟と喧嘩をしてしまって探していたんですけど、雨に降られた上にこの子が転んでしまって。風邪をひいて熱があるのに」 「そ、そうなんですかぁ!それは災難でしたね。行き先はこの近くの病院でよろしいですか?」 「いや、薬はあるんで家に。○○駅の近くのコンビニで下ろしてください。座席、汚してしまったのでこれ、おつりはいりませんから」  この状態でよく、息をするように嘘が吐けたものだなって自分でもビックリ。
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