待ち望んでいた

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 何を?ライガーの姿の先生に触れてしまったから、直也の記憶を消すだけではだめだって。先生に何かあるのかよ?  なら知りたい。先生のこと全部。どんなことでも知りたい。俺は先生を、悠一を愛しているから。 「話せば長くなる、できれば話したくない。お前が知らなくても良いことだし。けど知りたいって言うんだろう?」 「当たり前だろうが。どうせ俺を傷つけるからとかアホなことを考えてるんだろうけどな。この期に及んで隠し事なんか、俺を怒らせるだけだぜ」 「………………わかった。あとで全部話す」  先生が俺に隠すことなんて想像もつかねぇけど、俺が知って嬉しいとか面白いとか思うようなことじゃねぇってことは顔を見ればわかる。  斜め下を見つめる黄色の瞳は陰っていて、不安を隠せないで揺れている。こっちまで不安になるんだよ、バカ。  俺は擬人化種についてほとんど何も知らねぇけどさ。ジャガーの店長、ライガーの先生、それからキツネの香さんに出会えた。  香さんにいたっては擬人化種の保護をしているとか。これは運命。擬人化種について詳しく知る良い機会だと思うんだ。  だから「あとで」って言ったことは許してやる。香さん、もうすぐ食い終わっちまうし、次の予定があるんだよな? 「話を進めても良いかの?その直也じゃが、まぁ悪いようにはせん。わしの監視下に置いて経過を観察。少々心に深い闇が住み着いておるようじゃから、ついでにしつけてやろう」 「お手数をお掛けします。ブチギレてしまったとはいえ、我を失ってあの姿をさらして人間に触れてしまうなんて」 「かまわぬ。わしも面白い獲物……若い人間を観察できるのが楽しみになったからの。それにライガーになってしまうほど、その子を心より想うておるということの現れじゃ。わしにとっては微笑ましいことじゃよ。これからも大切になさい」
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