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俺は頭をブンブン横に振り、膝の上でソワソワしている悠一の手に触れた。俺よりも大きな、大人の手。俺も来年には大人になるんだけどな。
歳の差は16歳。だから何だよ?大きくて少しだけゴツゴツした、優しい手の平。
本当は今すぐ頬にあててスリスリしたい。頭を撫でてもらいたい。他にも、いっぱい触れてほしい。でも、それは我慢。夜まで取っておく。
少しでも緊張をほぐそうと手の甲を撫でていたら、つかまれた。指を絡ませて、ギュッと握る。
あっという間に強く引き寄せられた俺の上半身は悠一の腕の中。腰がいてぇなんて言う余裕もなくキスされて、すぐに離れた唇が「ごめん」と言葉を紡ぐ。
「俺さぁ、いい歳したオジサンでしかもライガーなんて大それた擬人化種だけど。結構臆病なんだよ」
「知ってるっつーの。何を今さら。そんなの、猫カフェで俺と初対面した時に俺に飛びかかられそうでビビッてたの見てすぐにわかったし」
「うっ、そういえばそうだった。酷い」
「でも、それ以上に強くて格好いいのも知ってる。うぬぼれだけどさ。俺のために必死になって、我を忘れて本性剥き出してさ。すげぇ格好よかった。すっげぇ、嬉しかった」
今の俺の顔を見られてなるものか、と背中を伸ばし悠一の頭を抱えるようにして抱きしめてみる。
腕の中が熱くなって、照れてやがるな?そしたら急に「クックックックッ」って笑いだして。なんかムカついたから全力で頭を撫でまわしてやった。
いつもボサボサの髪がさらにボサボサ、鳥の巣の方がまだ綺麗なほど。ざまぁ。
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