ライガー王

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 慌てて顔を上げた悠一が手ぐしで髪を直し、目が合った。そこでまたキスをして、ちょっとだけ舌も絡めて。また笑い合う。 「俺の生まれ、というか家族のことはもう知っているでしょ?擬人化種は個体が極端に少ないし、人間の世界で暮らす方を選ぶ人はもっと少ない。だから野生に帰った人は普通の動物と同じで同じ種族と子供をつくる」  俺の無理な姿勢に気付いた悠一は少し押し戻し、より一層ピッタリくっつくように腰を抱き寄せてからもう片方の手で指を絡めつなぐ。  つないだ手を見つめながら悠一の肩に頭を乗せると、その上に悠一の頭が乗っかってきた。  近くて、温かくて、悠一の匂いがフワッと香る。真剣な話をしてるんだからやめろ。俺がどれだけ悠一を好きなのかは分かったから、治まってくれ。  確か悠一の父親がライオンの擬人化種。人間の世界で、人間の女性との間にできた子供が悠一の姉でほとんど人間に近いハーフライオンの擬人化種。  姉に息子がいて猫アレルギーだって言ってたな。旦那が人間だったらもうほぼほぼ人間の子供か。  で、悠一の母親は父親が動物の世界で出会った野生のトラ。生まれた悠一はライオンでもトラでもなく、混ざったライガー。そして両親はそのまま野生化していると。  ん?じゃあどこかのサバンナとかで悠一は生まれたのか?どうやってこの国に…… 「人間の世界を選んだ擬人化種は迫害を恐れ、パートナーを作らず1人でいることが多いが。まれに心を許し合い、新しい暮らしを作る。そうすると血が混ざって、パートナーが人間なら子供はほぼ人間。が、中には擬人化種同士でツガイになる場合もある。そうなると子供は血が混ざることがなくどちらかの性質を受け継ぐだけ」
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