初めての

5/16

319人が本棚に入れています
本棚に追加
/811ページ
 黒シオンがニッコリ微笑み、ガックリうなだれるドクトルの後に続いて俺達は研究所の中に足を踏み入れた。  検診の内容は人間のものと変わらない。身長と体重と血圧、視力と聴力を測定。心電図とレントゲンを撮って、血液検査と尿検査。  測定している間のドクトルは真面目できっちり不正もなくやってくれるんだけどなぁ。その合間合間に手を出してくるんだよ。  1番危ないのは、心電図。上半身裸になって器具をつけるし。その時は俺がすぐ近くで目を光らせる。  素肌はもちろん、服の上からでもシオンに触れられるのは虫唾が走る。検診に必要な部分は我慢するけど。瞬きの間でさえ疑いたくなるほどにその距離が近い。 「えーと、まずは熱を測って。それでこの問診票に書いていって、かも。わからないことはネコヤンに聞いて、たぶん。あぁはいはい、今行く、かも!」  入ってすぐにあるロビーの椅子に座り、問診票とペンをシオンに持たせたドクトルはすぐに走って行った。  奥の部屋から呼ばれていたな。忙しいのか。何かこの前、連続で何徹もして倒れていたとか聞いたけど。何があったのかまでは知らないけどさ。  擬人化種専門の医者はドクトルだけなんだし、そっちも忙しくて上手く休めていないんだな。憐れんでやるよ。 「検診って初めてだけどさぁ。ここに書いてあることについての返答を書けばいいんだよな?わからねぇところは飛ばしてもいいのか?」
/811ページ

最初のコメントを投稿しよう!

319人が本棚に入れています
本棚に追加