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この子、オッサンの加齢臭フェチか?それともタバコの匂いフェチか?なんてふざけたことは考えられず、次の青年の行動に息をのんだ。
青年の熱い吐息が俺の顔にかかったかと思ったら次の瞬間、ほんのわずかに鼻先を何かがかすった。
そんでその直後だよ。青年の腹がとんでもなく場違いな、かわいらしい鳴き声を上げたのは。
それで我に返ったらしい青年は自分の気を反らすために何か叫んで、ドタバタと、また窓から出て行ったらしい。慌てすぎて窓から落ちなかったようでよかった。
まぁ、怪我をしてもここは保健室で俺は保健医なんだからすぐに手当てしてやれるけどな。
だがそれ以前に、どんな顔をしていいのかわからない。あんな、普通ではありえない行動をされては俺も平常を保ってはいられない、かもしれない。
すぐに立ち去らないで俺を観察するのも、変な言いがかりを呟くのも構わないけどさぁ。
青年が俺に何をしていたのか、実際にこの目で見ていたわけじゃあないんだから確かではないが。第三者から見ればたぶん、わりとヤバい噂になるようなことだろう。
「あの子は一体、誰なんだ……?」
俺の記憶が途中で途切れたりしていなければ、俺はあの青年と会ったのはこれが初めてのはず。
大学のイベントや集合写真なんかでも見たことがない。いや、集合写真はほとんど見たことがないんだけど。
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