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止まった。第二関節で。ギチッと、完全に止まった。
「え?」
「あぁー……いや、ほら。シオンの指のサイズとか手回しに必死になって自分の指を測り忘れてさ。ア、ハハハッ、ハハッ……」
笑って誤魔化せるか!?いや、うん、合わないんなら仕方ない。俺のだし、今日か明日にでも店に行って作り直してもらうさ。
痛いっ!?いっ、いたたったたたたたたっ!?なに、この激痛!?
「いけるいける。押し込めば何とかなる。関節を乗り越えればちょうどだろ。ローションでも使えば滑りやすくなるし、ほら、手伝えよ」
泣き止んでる!?いやむしろ、黒シオン降臨。目がマジなんですけど。
感動の場面で予想を裏切られてブチキレてる。俺の手をつかんで、指輪をグリグリ力づくで押し込む。真っ赤になってませんか!?骨が悲鳴を上げてませんか!?
怒ってる。めっちゃ怒ってる。けどその奥に、悲しみがある。ごめん。こればっかりは最後まで、ちゃんとしたかったよな。
俺も、お前のことに必死だったんだ、わかってくれよ。今夜こそ、お前の好きなように抱いてやるからさ。え、違う?
痛い!もう、本当に痛いから。許して。
俺は黒シオンから白シオンに戻りつつまた、水色の目に涙がにじんできたシオンを抱きしめた。力一杯、ギューッと抱きしめて、叫んだ。
「ごめんなさぃぃぃぃぃっ!!」
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