名は体を表す

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 シオンの20歳の誕生日の翌日から3日間くらい、俺の左手の薬指には赤い指輪が嵌まっていた。というか見事に腫れた。  本当に痛かったんだから。けど、さすがにやり過ぎたって落ち込んだシオンがさ、可愛いことをしてくれたんだよ。  指をジッと見つめて「早く治るように」って、両手で握ってペロペロ舐めてくれた。もうね、鼻血が出るかと思ったぞ。というか、よく鼻血を出さずに我慢したと自分を褒めたい。  その不意打ちのデレのせいで盛ってしまってその後に抱きまくったのは言うまでもなく。ヤり過ぎて、赤い指輪の上を思いっきり噛まれました。  悪化して、ようやく赤い指輪が赤い糸くらいになった頃に俺の指輪を買い直した。帰って、お互いに嵌め直して、ギュッと抱きしめるとこの上ない幸せに満たされる。  夫婦にはなれなくても、俺達は恋人以上の関係だ。誰にも文句は言わせない。 「いてっ。悠一、そろそろ髭剃れよ。オッサン決め込んでんのもいいけどさ、ジョリジョリして痛いんだよ」 「えぇ、オジサンの代名詞である髭を剃ったら俺、オジサンじゃなくなるだろう?当たらないようにするから、剃るのは勘弁してくれよ」 「心配すんな。悠一は髭がなくても立派なオッサンだっての。クスクスクスッ……」  もしかして加齢臭!?肉体の老いにはかなわないんだが。鼻を押さえて、楽しそうに笑っているシオンが可愛い。愛しい。  華奢で甘くいい匂いの漂う体を、包み込むように抱きしめればギュッと抱きしめ返してくれる。俺の恋人、最愛のシオン。  レースカーテン越しに温かい日光が差して、まどろむようにベッドの中で抱き合う。チュッと額にキスをして、顎を引き上げて唇にも。
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