名は体を表す

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 直也の一件があってから俺にはあられもない噂がついていて、しばらくは教師からも生徒からも避けられていたんだけどな。最近は俺から幸せオーラがにじみ出ているのか、よく話しかけられる。  俺が休みの時に来る女の保健室の先生も、「幸せそうですね」なんて微笑んでくるし。えぇ、その通りですよ。全く、女は鋭くてかなわない。  シオンはシオンで、友達に「相手に会わせろ」だの「どんな経緯で?」とか聞かれまくっているらしいが。  なんか、バレるのは時間の問題な気がしてきた。同じ時に指輪を嵌め始めたし、シオンは保健室に遊びに来るし?勘のいい女子の中にはすでに気が付いている奴もいるかもしれないな。 「ん?なんだ、シたくなったのか?」 「ちっちちちち、ちっげーよ馬鹿っ!!俺は年中発情期じゃねぇっ!あー、もう、ケツを撫でるな!シねぇから、ちょっと聞きたかったことがあんだよっ」  無意識なのか?シオンが、俺に抱きついたまま胸にスリスリしながら上目遣いで声をかけてきたので。しかも何だか物欲しそうな目で、本気でそうなのかと思った。  なんだ、違うのか。残念。けど、ガッ!と足を蹴らなくてもいいじゃないか。ゆでだこみたいに真っ赤になった顔は可愛いけどな、地味に痛い。  俺、悶絶。「フンッ」と怒ってそっぽ向いても、力を入れすぎたかもって心配になって目を向けるのがまた、たまらなく可愛い。  俺は「冗談だって、すまんすまん。で、聞きたいことって?」と、頬を撫でてやる。
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