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お詫びに軽く、触れるだけのキスもオマケして。機嫌が直ったところでまた、しっかり密着するように抱き寄せて。
「ずっと気になってたんだけどさ。悠一の名前って、自分でつけたのか?」
「え、名前?あぁ、猫屋敷って珍しいもんなぁ」
聞きたいことって、名前のことか。俺は猫科のライガーの擬人化種で、猫屋敷なんて妙ちくりんな苗字だから気になったんだな。勘が鋭いやつなら猫科の擬人化種だって、名前だけでバレかねないし。
そんなことを言えば、この前行った呉服店のタカミヤコーポレーションの社長。高宮正宗なんて、鷹の擬人化種なのに苗字に思いっきり“タカ”って入ってるもんな。
そんな、名は体を表しまくってる名前を付けたのは、自分じゃない。付けるわけないだろ。
「俺に名前を付けたのは、俺を拾ってくれた香さんだよ。あの人、面白い名前を付けたいからって猫屋敷なんて。下の名前は人間らしく普通にしてくれたけどな」
香さんに拾われた擬人化種、特に擬人化して間もない名前のないやつなんかは香さんに名前を付けてもらうことが多い。
そういえば、緋桜も香さんに付けてもらったんだっけか。それにしては、普通だな。えこひいきか?
香さんの市長としての秘書でもあり、香さんの恋人でもある緋桜。香さんに拾ってもらったらしいが、その眼は赤。加えて、どうせ桜の季節に拾われたんだろうな。
香さんさ、長く生きすぎたせいで名前を軽く考えているんだろうな。そうじゃなきゃ、高宮はともかく、猫屋敷なんてふざけた名字をつけないだろ。
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