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シオンのバイト先の店長さんなんかは本名は本庄瑠奈だって緋桜が言っていた。たぶん、自分で付けたものなんだと思う。彼女は割と早くに擬人化したらしいし。
それから、ドクトルと千川原か。千川原は蛇と人間とのハーフ擬人化種だが、名前は両親に付けてもらったとか。
ドクトルは、本名は誰も知らない。香さんですら知らないんだ。詮索は、しない方が身のためだと思う。
「何となくそう思ったぜ。え、俺?ばっちゃんが名付け親。シオンって名前も、人間として生きるのに使いやすいようにって。あの頃俺が読んでた漫画の登場人物から取った」
「漫画って。シオンなんて名前、おばあさんが考え付くかって思ったが、そういうことか。男女ともに使える名前だよな」
「あぁ、でもその漫画の登場人物、女だからな。俺が女の子みたいに可愛いからって、その子に似てるからって」
「ククククッ……。何の漫画か、わかった気がする。おばあさん、お前の可愛さをよくわかってる。今度墓参りに行ったらお供え物、奮発してやろうな」
「な、なんかムカつく!何だよ、猫だらけでボロボロになった猫屋敷のくせにっ!」
「いや、意味が分からん。まぁ、良かったよ。シオンがマトモな名前を付けてもらって。俺達擬人化種にとって、名前は特別なものだから」
シオンの飼い主であり育ての親でもある人間のおばあさん、想像以上に優しそうな人でよかったよかった。
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