名は体を表す

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 俺は最初こそは猫屋敷なんてふざけた名字、嫌で嫌で仕方がなかったんだけどな。時が経つにつれて馴染んでいったというか慣れたというか。  皆から「ネコヤン」って、擬人化種にとってさらに際どいあだ名で呼ばれるようになって。愛着がわいてきたんだよなぁ。  まぁ、そんなことを素直に名付けの親に言えばドヤ顔されること間違いなし。名前を考えて付けた礼にと、好物の稲森のいなり寿司を大量に要求されるかもしれない。  あれは超高級品なんだ。そう頻繁に大量差し入れすれば、俺がシオンを甘やかすための買い物ができなくなるだろ?  服とかおそろいの食器とか、遊びに行く費用も。それから、一緒に楽しく遊べるオモチャとか。嫌がるのか、興味津々か。 「人間でも名前って特別なもんだろ?こんな大人に育ってほしいとか、願いを込めて付けるんだし」  まぁそうだけど。と、シオンの白くて細くてサラサラな髪を三つ編みにしたりして遊んでいたら。仕返しにと俺のボサボサの髪で三つ編みを作り始めた。  だがすぐに「むぅ」と、不機嫌になってやめた。そりゃあそうだ。俺の髪は短いからな。千川原や高宮くらいの長髪なら、思う存分いじれるだろうよ。  あ、結構三つ編みも似合うな。小さいリボンも付けたらもっと可愛くなると思う。なんて考えていたら、シオンが足で俺の足にスリスリし始めた。  何のおねだりだ?それともただの甘えか。腕の中で幸せそうに微笑むシオンは、腰のあたりにある掛布団を首まで引き上げた。
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